FURANSUJIN CONNECTION とは?

ここ数十年、日本のアニメーションは、海外の観客や視聴者たちを熱狂させる作品をいくつも生み出してきました。海外ではファンが集うコンヴェンションが続々と増え、多くの若者たちがマンガのスタイルで絵を描き、日本のポップカルチャー全般が人々にインスピレーションを与えるようになりました。日本のアニメーションの影響は絶大です。その影響は、アニメーション学校の学生たちが作る作品だけでなく、ハリウッドの大ヒット作にまで感じられます。日本の街ですれ違う観光客たちを見ると、日本そのものが彼らを魅了していることがわかります。彼らは日本にすっかり夢中になり、いつかまた日本に戻ってきたいと夢見るのです。

日本アニメーション業界の外国人

このように日本はとても魅力的な国ですが、アニメーション業界で働いている外国人の数は決して多くありません……。はっきり言いましょう。日本のアニメーション・スタジオで働くことは難しいのです。理由は複数あげられます。

一番目に、たいていのスタジオでは誰も英語を話しません。状況は少しずついい方向に変わりつつあるのですが……。監督の指示に従い、絵コンテを読み、メールを書き、あるいは単純に仲間たちと意思疎通するためには、日本語がどうしても必要になります。

二番目に、労働時間が過酷です。どのスタジオもとても短い納期で制作するため、スタッフたちは試練にさらされています。制作ペースを乱さぬよう、アニメーターたちは、しばしば深夜や週末も仕事をすることが「推奨」されます。もちろん職に応じて、仕事の濃度は異なります。制作の前段階、例えばデザインの仕事は、最終段階の仕事に比べると、ずっと快適な条件で行えます。

三番目に、ほとんどのポストが低賃金です。特にヨーロッパやアメリカで同じ仕事をした場合と比較すると一目瞭然でしょう。これは、まだ技術的習熟度の低い若者が、この仕事を始めたばかりの頃に特に言えることです。しかし、作画の速度が増し、技術が上がるにつれ、あるいは、名前が知られるようになるにつれ、賃金も上がっていきます。

それだけではありません。就労ビザを取得するのも難しいですし、企業文化になじむに当たってさまざまな問題が生じることもあります。また、日本の業界特有の仕事の仕方も学んでいかなければなりません。こうしたことが、乗り越えなければならない障害として存在するのです。

このように困難は山積しているのですが、それでも日本でキャリアを築くことは十分可能です。そう、日本のアニメーション業界で働くのに、日本人でなければならないということはないのです! 既に何人かの外国人が、ここに自分の居場所を見つけています。その理由はさまざまです。才能に溢れていたから、辛抱強かったから、抜け目なかったから……。多くのスタジオで欧米人とすれ違うことが増えてきました。彼らのポストもさまざまです。背景、作画、撮影……。

多くの場合、彼らはフランス人です。東京のアニメ業界の片隅に存在するこのごく小さな欧米人の集団の中で、一番多いのは実はフランス人なのです。

フランス人コミュニティの特殊性

どうしてフランス人が多いのでしょう? それはおそらく大前提として、フランスがアニメーション大国であり、アートや創作行為が社会の中で重要な位置を占め、高く評価されているからだと思います。フランスの若者たちは基礎的な技術をよく身につけ、創造的で、適合能力もあるように見受けられます。

また、おそらく1980年代以降、日本のポップカルチャーが最もよく輸出された国がフランスであるということも大きな要因としてあげられるでしょう。フランスは現在、日本についで、世界2位のマンガ消費国です。したがって、1970年代以降に生まれたフランス人の多くにとって、日本的な作画スタイルとナレーションは、とても身近なものなのです。そして、日本からやってきた作品の影響は、ある時期のヤングアダルト層において絶大だったのです。

最後に、日本のアニメーション業界で働いているフランス人たちがとても団結力のあるコミュニティを形成しているということもあげられます。2000年代の半ば頃から、彼らは日仏の架け橋となるような活動を始めました。こうして研修を行うことが容易になり、フランスのアニメーション学校を卒業した若者たちが、日本でポストを手に入れることができるようにすらなったのです。日本側でも、プロデューサーたちがフランス人と仕事をすることに徐々に慣れてきました。こうした状況のなか、才能ある若者たちが日本にやってきて挑戦することを支援するあるサークルが作られたのです。

この「Furansujin Connection(フランス人コネクション)」というサイトは、日本に根を張るフランス人コミュニティの、日本のアニメーション業界に入るために一歩を踏み出そうとしている新しい人たちを援助したいという意志をそのままタイトルにしています。このような協力を通じて、フランス側にとっても日本側にとっても、現実的な利点が得られることでしょう。

日本でチャンスをつかむ―新たな可能性

アニメーションが大好きなフランス人であれば、日本のスタジオで仕事をするということは、言うまでもなくとても刺激になります。著名な監督やアニメーターと交わり、この国特有の仕事の仕方を吸収する……。技術面だけでなく、献身性と敬意と謙虚さが入り混じった、極めて独自な日本的精神を肌で感じることは、とても豊かな体験です。

実は、これは日本のスタジオにとっても有意義なことなのです。彼らは、一時期、新しい才能を発見し、常に一定のクオリティで制作を維持し続けねばならないことに苦慮していました。やる気がある者なら誰でも大歓迎です。もちろんそれなりの能力と仕事に対する真面目な取り組みが必要なことは言うまでもありません。

しかし、だからと言って、必要とされているのは真面目な労働者ばかりというわけではありません。日本のアニメーション業界は、今まさに世界市場に直接扉を開こうとしている真っ最中であり、外国のパートナーたちと意思疎通でき、日本の従来の観客よりさらに広く多様な観客に向けてアピールできる、世界へと開かれたクリエイティブな人材が、この先すぐにでも必要とされることでしょう。これは私たちに差し出された大きなチャンスです。チャンスは目の前に転がっているのです。あとは私たちがそれをつかみ取るだけなのです。

このような冒険に興味はあるけれど、これまでの生活や習慣をきっぱり捨てなければならないんじゃないかと心配している人がいたら、どうか安心してください。二度と後へは退けないというわけではありません。そこまで長期には及ばないプロの体験をしたあとで、日本からフランスへ帰るフランス人も決して珍しくはありません。誰もが日本のアニメーション業界に溶け込めるわけでも、溶け込みたいと思うわけでもありません。逆に、このような経験が後々実を結ぶ可能性は大いにあります。こうした経験を履歴書に記せば、きっと海外のスタジオの目に留まることでしょう。

日本式の仕事の仕方を知ることで、アニメーション制作、それがどんなものであれ、の効率性を改善し、最適化することができるようになるでしょう。多くの「日本の先人たち」が、フランスのアニメーション制作の中で、今まさにこうした掛け合わせを試しているところです。こうした試みが新たな生産パイプラインの可能性を開拓し、さまざまなプロジェクトが日の目を見ることになるでしょう。それは喜ばしいことです。なぜなら、より多くのアニメーションがある世界とは、より良い世界に決まっているからです!

Furansujin Connectionのサイトには、希少な生の情報が掲載されています。なぜなら、日本のアニメーション業界で今まさに働いているプロのフランス人たちが直接お届けしているからです。具体的な体験に基づいた有益で実用的な助言も、きっとあなたの役に立つことでしょう。

ざっくばらんなインタビューからは、コミュニティのメンバーたちのとても多様な経歴を知ることができると同時に、彼らの経験を共有することができます。私たちはこうした活動を通じて、どうしても日本で働いてくださいと勧めているわけではありません。必ずしもいつもバラ色とはいかないこの仕事の真実を語り、現実のあり方を説明したいのです。私たちの何人かはもしかしたらあなたとよく似た経歴を持っているかもしれません。その場合、あなたはより容易に日本での(あるいは日本との)仕事の計画を立てることができ、あらかじめ問題の数々を予測することができるでしょう。

サイトにはさまざまな記事がありますが、そこで答えが見つからなかった問題については、遠慮なくTwitterやFacebook等のSNSで質問してください。コミュニティのメンバーが、時間の許す限り、そしてあなたたちの真剣度に応じて、喜んであなたの質問にお答えします。もしあなたが既に日本にいて、アニメーション業界で働いているなら、実際に会っておしゃべりしましょう。いざというときにお互いに助け合うことができるかもしれません。

日本でアニメーションの仕事をすることは十分可能です。しかし、しっかりと準備しなければなりません。私たち、Furansujin Connectionのコミュニティに属するアニメーターやクリエーターの助言や経験がきっかけになって、アニメーションが大好きな多くの若い仲間たちが自分も冒険してみたいと思ってくれたら幸いです。

彼らが私たちと同じように、日本のアニメーション業界という、唯一無二のワクワクする世界に居場所を見つけることができますように。

ロマン・トマ、2016年7月

翻訳:原 正人